SDGsにつながる着物リメイク|しろくまきものの正絹着物づくりの歩み
しろくまきものの出発点は、「ポリエステル製ではなく、日本の正絹(しょうけん・シルク100%)の着物を、外国の方にも一人で簡単に着て楽しんでもらいたい」という想いでした。
商品開発を進めるなかで、生地を生かす着物リメイクの工夫や、就労継続支援B型事業所との連携が生まれました。こうした取り組みが、SDGs(持続可能な開発目標)の考え方につながっていった経緯をご紹介します。
外国の方にも、一人で着られる正絹着物を
着付けの経験がない方にも正絹着物を楽しんでもらうために、私たちはアンティーク着物を選び、上下に分かれた「セパレート着物」へと再構築しました。
上下を別々に着用できる構造にすることで着付けの手順を分かりやすくし、着物が初めての方でも一人で着られる仕様にしています。
使われなくなった着物を、再び楽しめるかたちにする。この着物リメイクは、日本の伝統技術が息づく素材を大切に生かす「もったいない」の精神にもつながっていきました。
着やすさの工夫が広げた、着用の可能性
開発を進めるなかで、車いすを利用する方にも、サポートを受けながら着用していただけることが分かりました。必要なサポートの内容や程度は、着用される方の状態によって異なります。
これは、当初から想定していたことではありません。外国の方にも着やすくするための工夫が、より多くの方が利用しやすいかたちを目指す、ユニバーサルデザインの視点へとつながったのです。
生地の状態に合わせた活用が、SDGsにつながる
アンティーク着物は、一枚ずつ状態を確認しています。一部に傷や汚れがあり、そのままセパレート着物として再生できないものは、縫い糸をほどいて生地に戻し、状態のよい部分を選びます。
取り出した生地は、状態や大きさに合わせて、着物ワンピースドレス、ストール、バンダナキャップなどに再構築しています。セパレート着物にはならなくても、使える部分は新たな商品として生かしています。
製作過程で生まれる残布の一部は、しろくま応援団(一般社団法人Shirokuma Supporters Network)が製作するぬいぐるみにも提供しています。
状態のよい生地は本体に、小さな残布は中わたに。素材に合わせて用途を変え、できる限り無駄にしないものづくりを進めています。
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」には、資源の効率的な利用や、再利用による廃棄物の削減が掲げられています。生地を最後まで生かすこうした実践を、私たちはその考え方につながるものと捉えています。
糸抜きの依頼から始まった、B型事業所との連携
着物の縫い糸をほどいて生地に戻す「糸抜き」の依頼先について、大阪で障害者の就労支援に取り組む一般社団法人エル・チャレンジに相談した際、私たちは就労継続支援B型事業所の存在を初めて知りました。
B型事業所は、一般企業で働くことが難しい障害のある方に、雇用契約を結ばずに仕事や生産活動の機会を提供する福祉サービスの事業所です。
商品づくりに必要な作業をお願いしたことが、連携の始まりでした。そのなかで、利用者の方々に支払われる工賃の低さという課題を知り、仕事を通じて応援したいという想いが生まれました。
現在は、事業所の皆さまと相談のうえ、糸抜きなどの作業を、縫製の専門業者に発注する際と同じ金額でお願いしています。
効率や納期だけを優先せず、それぞれの事業所や利用者の方々のペースを尊重し、ものづくりのパートナーとして関係を育んでいます。
この連携は、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」の考え方にもつながると考えています。
商品づくりから広がった、環境と人への配慮
私たちは、生地をできる限り生かすことを、資源を大切にするサステナブルファッションの実践と捉えています。
また、つくり手の仕事やペースを尊重することは、人や社会に配慮するエシカルファッションの考え方につながると考えています。
これらは、環境保護や就労支援を目的に掲げて始めたものではありません。正絹着物を外国の方にも気軽に楽しんでもらいたいという想いを形にするなかで、素材を生かす工夫や、人とのつながりが生まれました。
しろくまきものは、その一つひとつを、環境と人を大切にするものづくりへとつなげています。それが、私たちなりのSDGsへの歩み方です。